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公開シンポジウム

2008年 9月 2日更新


2007年度以降の生活経済学会市民公開シンポジウムの廃止を決定

 市民公開シンポジウムは、学会の研究活動を社会への還元という目的を十分に果たし、今後は全国研究大会の共通論題報告を一般に公開することにより所期の目的を達成できるので、2007年度以降の生活経済学会市民公開シンポジウムを事業活動として廃止することを決定した。長らくのご支援を感謝いたします。


2007年度生活経済学会市民公開シンポジウム

  2007年度は市民公開シンポジウムを休止し、かわりに4月22日(日)の第23回研究大会共通論題を市民公開パネルディスカッションとした。

2006年度生活経済学会市民公開シンポジウム

2006年度は市民公開シンポジウムを休止し、かわりに6月1日(日)の第22回研究大会共通論題を市民公開パネルディスカッションとした。

2005年度生活経済学会市民公開シンポジウム開催状況

 平成17年度生活経済学会第16回市民公開シンポジウムは、「私たちの食卓から見えるもの」をテーマに、11月26日(土)大阪市立大学文化交流センターにて開催された。もとより経済学は、「生活」と切り離しては存在しえないものである。「食」は生活の中心であるとともに、近年、食の安全や健康、「食育」への関心が高まっている。今回の企画は、「食」から現代の生活を捉え、生活経済学の新しい方向性を探ることが狙いであった。
 まず、シンポジウムでは、日本における「食育」研究の第一人者である足立己幸氏(女子栄養大学)による基調講演が行われた。足立己幸氏は、子供達がスケッチで表現する「いつもの食卓」から、その中に込められる子ども自身、家族及び地域などの背景を解説され、もっと安全で栄養的に望ましい食事の場を保障することの必要性を述べられた。次に、ひとりで食事をする子どもが半数以上になっているという現状を踏まえ、「何を食べるか」から「どのように食べたら望ましいか」へと議論が展開してきたこと、そして「一緒に食べること」を考える必要性が認識されるようになっていったことを説明された。さらに、料理の組み合わせで食事を評価すること、誰と一緒に食べているかが、心の中の問題から体の問題、食べている中身の問題、生活と健康の状況に反映されることを指摘された。続いて、「食行動の特徴」について、「全ての生活者が関わる」「毎日高頻度で関わる」「1単位が小さい(時間、場所、経費など)」「家族や友人との共食」「多種多様な行動から成り立っている」「生命活動への直接的影響」「心身両面に関わる重要な行動」「食物というものづくり」「作る、食べる、伝承する」「地域(自然、社会、経済、文化)との直接の関わりが大きい」「歴史性が大(個人、家族、集団、市町村、国、地球)」といった点と関連して説明された。さらに、「NPO法人食生態学実践フォーラム」の活動について紹介された。そこでは、「弁当箱で一食をはかる」という方法を紹介されるとともに、子ども達が自分自身に「ぴったりと」フィットする一食の食物を知ることの重要性・子どもたちの可能性を指摘された。加えて、今までの栄養教育の価値観の転換、食物の生産から食卓まで生きる力の形成を知ること、「食育」が目指している方向性を確認することの重要性、「人権としての食」といった点についても述べられた。
 引き続き、大久保克子氏(甲子園大学)をコーディネーターに、3人の討論者も含めたパネルディスカッションを行った。岸本妙子氏(平安女学院大学)は、日本の食料自給率が先進国の中で低く、さらにそれが年々低下していること、農水省による供給熱量と厚生労働省による国民栄養調査での摂取熱量の差から、多くの食料を廃棄していることが推測されること、世帯の変化、特に単身世帯の増加に注目し、もはや、単身世帯は青年期の一時的な生活スタイルではなく一人の食事を長い期間にわたって経験することになること、現代の食生活に加工食品が普及し、家族が用意し家族と共に食事を摂る家庭内食(内食)とは別に中食(なかしょく)や外食が増え続けており、特に、即時消費性の高い飲食料品を提供しているコンビニが中食を支えていることを指摘された。さらに、食品について知ること自体が難しく、原材料と食品添加物、遺伝子組み換え食品の有無、消費(賞味)期限などを食品表示から読み取らなければならず、その一方で、輸入食品があふれ、輸入食料を使った加工食品が増加していることに触れ、食卓から食料と生活経済について考えるとき、生活スタイルについても見直す必要があると論じられた。
 春木敏氏(大阪市立大学)は、食生活教育実践の立場からコメントされた。食に関する行動は、生活習慣病などとも関連した重要なテーマであるが、食行動を含む生活行動は、知識や態度、行動を実行するための技術、周囲の態度や行動、社会環境の変化によって左右されること、これらに対処できる力をもつよう,健康教育と環境整備が行なわれていることを述べられた上で、日本の子どもに合った生活習慣病予防のための食生活教育プログラムの開発・普及、望ましい食習慣とライフスキルの形成、生涯にわたる健康の保持・増進,健全な自尊心(セルフ・エスティーム)の育成などが目指されていることや、大阪府下の自治体や学校における食生活教育、 中高年対象の社会・生涯教育、テレビや雑誌などの“食べ歩き”や食事管理などの情報の活用など、食生活教育の事例を紹介された。また、生理的・社会的・情緒的発達の促進、社会的スキルの育成いった食の機能についても述べられ、栄養学的教育に加えて,料理を楽しむことや郷土食の継承などを通した「豊かなこころと健やかなからだを育む食卓づくり」の実践を強調された。
 中塚雅也氏(神戸大学・NPO法人「食と農の研究所」)は、「食育」に加えて、「農育」を伴った食農教育の必要性を述べられた。「農育」とは、実際に農村の現場に触れて、食や農業、環境の問題を身近に感じ、食べ物の大切さや農業の重要性、環境を守ることの意義を学ぶことである。中塚氏は、食べものの先にある農業・農村の環境を理解し、都市の人々が、農村と直接・間接に関わりを持つこと(農業支援、地産地消、税などが含まれる)が重要であると指摘され、「食と農の研究所」が行っている「都市と農村のネットワーク作り」「食・農・環境の学習機会の提供や情報発信」「相談・助言、調査研究活動」などについて紹介された。これら中では、食・農業・農村の体験を通して、子どもたちに自然の生命を感じる機会を与え、その生きる力を高めることを目指している「食と農の小学校」という食農教育プログラムや、農繁期などでの労働力が不足する時期の農家と、仕事を求める大学生を農作業の体験をする「ボラバイト」という形で結びつける活動などを紹介しつつ、食べものの生産現場での体験を通して、食だけでなく、農業そしてそれを支える農村環境についての理解を深めることの重要性を述べられた。
 この後、引き続いて、フロアからの質問を受けてのディスカッションが行われた。「子どもの食に対する意識の変化」「中食・外食の拡大」「地域の伝統野菜」「食品表示や食品の安全」「学校現場の食育」などについて当初予定時間を超過しての活発な議論が行われ、終了した。
当日は、学会員、学生・一般市民も含め約100名の参加者があり、このテーマへの社会的な関心の高さが示される形となった。生活経済学会による市民公開シンポジウムとしての目的は果たされたのではないかと考えている。今回のシンポジウムの開催にあたり後援していただいた各種団体、長期間にわたる準備に多大なご協力をいただいた学会内外関係者の方々に厚くお礼申し上げたい。

生活経済学会第16回(平成17年度)市民公開シンポジウム実行委員長
       小西 康生(神戸大学)
(所 道彦(大阪市立大学))

テーマ:  「私たちの食卓から見えるもの」
日時:2005年11月26日(土) 13:30〜16:30
場所:大阪市立大学文化交流センター
    〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-600
    大阪駅前第2ビル6階

(趣 旨) 今、私たちの食卓の様子は大きく変わりつつある。食べ物をめぐる問題が山積しているだけでなく、家族関係や子供たちの生活の変化をも巻きこんで食卓事情を複雑にしている。
このシンポジウムでは、食物の生産・流通・消費・廃棄から食育や食文化に及ぶ様々な視点から今日の私たちの食卓を考える。
市民の方々との意見交流をふまえ、共に考え、実践に移せるステップにしたいと考える。

入場予定者  一般市民、生活経済学会会員など約120名(先着順)
入場料     無料
主催      生活経済学会
後援      大阪市
        日本郵政公社
        NHK大阪放送局


プログラム
  総合司会
開会挨拶
:坂口 正之 氏(大阪市立大学・生活経済学会副会長)
:釜江 廣志 氏(一橋大学・生活経済学会会長)
  第一部 基調講演
 

講演者

:足立 己幸 氏(女子栄養大学)
  第二部 討 論  
 

討論者

コーディネーター

:春木    敏 氏(大阪市立大学)
:中塚  雅也 氏(神戸大学・NPO食と農の研究所)
:岸本  妙子 氏(平安女学院大学)
:大久保 克子 氏(甲子園大学)
  閉会挨拶 :小西  康生 氏(神戸大学・実行委員長)

2004年度生活経済学会市民公開シンポジウム開催状況

 昨年まで、生活経済学会特別公開シンポジウムという名前で開催されてきたシンポジウムは、本年度から生活経済学会市民公開シンポジウムと名を変え、装いも新たに開催されることになった。最近の少子化問題に狙いを定めた「生活経済と楽しい子育て」をテーマとし、11月20日(土)、千葉県浦安市にある明海大学の浦安キャンパスで開催された。シンポジウムの趣旨として、「少子化の原因とその対策を、生活経済学、家政学、人口論、医学そして行政などの分野から多角的に議論し・・市民のみなさまの持っておられる悩みや疑問を自由に話していただき、パネラーと市民の方々の交流の場を提供」することを謳った。会場は、東京のベッドタウンとして最近注目をあつめている地域であり、近隣の子育て中の人々の積極的な参加が期待された。参加者数は67名。市民の方々を始め、生活経済学会会員、子育て支援のNPO法人やグループ、後援団体など、テーマに大きな関心をもつ参加者を得て、熱気のあるシンポジウムとなった。
 第1部は、愛育病院新生児科の加部一彦氏による「小児科医師からみた出産・子育て支援」と題する基調講演であった。加部氏は、都心の総合周産期医療センターで新生児集中治療と小児科一般外来に従事されながら、出産と育児に関する多くの著書を出され、テレビやラジオでの育児相談などで活躍されている。講演の要旨は次のようにまとめられる。わが国の少子化が社会問題となったのは、1980年代に入った頃からであったが、さまざまな「少子化対策」にも関わらず大きな効果はあがっていない。これはなぜか。その原因の一つとして、8組に1組といわれている「不妊」カップルの増加がある。その一方で、「不妊治療」は近年の生殖医療技術の驚くべき進歩があるにもかかわらず、社会の認知・法的整備の遅れなどにより、医療の分野と社会の受容との間にギャップがある。また、少子化対策は、たんに「子どもを増やす」だけではなく、いかに「子どもを育てる」かに配慮しなければならない。さまざまな「子育て支援」が予算化され、実施されているなかで、どれだけ実効力があったのであろうか。育児の重要性について、社会的な認知と支援が必要である。臨床医として少子化問題を分析する視点が、われわれにとって新鮮であった。
 この基調講演を受けて、第2部では、コーディネータの上村協子氏が進行役となり、パネルディスカッションを行った。まず、特別パネリストとして、酒井泰弘氏が「『少子化』、『高齢化』、『無気力化』の現実を前にして」と題して、小手先の対策よりも価値観の転換がいかに重要であるかを強調した。とくに、「地方」の自然と文化を見直すべきこと、新しい日本に相応しい価値観を創造すべきであること、そして「新しい生活経済学」の樹立の必要性を説かれた。具体的なお話で、会場の雰囲気は盛り上がった。
 国立社会保障・人口問題研究所の大石亜希子氏は、「少子化の現状とその背景」の中で、少子化の2つの要因をあげる。すなわち、第1に晩婚化の進展、第2に夫婦出生力の低下である。少子化による問題はいろいろ指摘されているが、一番の問題は、今の少子化が「人々の本当に望んだ結果ではない」ことである。すなわち、夫婦が理想とする子どもの数と実際に持とうとする子どもの数とのギャップは、ずっと拡大している。経済的な負担が重過ぎる、仕事と子育ての両立することの困難さ、子育てに不安がある、などの原因がこのギャップの背後にある。これまでの少子化対策は「狭義の少子化対策」にウエートが置かれ過ぎ、「広義の少子化対策」としてのマクロ経済政策や労働市場政策が認識されてこなかったからではないであろうか。大石氏は、社会保障における高齢者世代と子育て世代との配分の見直し、非正規雇用者と正社員との均等待遇、若年者の就業支援などが重要である、と提言された。
 浦安市の子育て家庭課長の工藤陽久氏は、「行政の子育て支援について」と題して、これまでの「エンゼルプラン」など国のさまざまな施策があまり効果を持たなかったことを指摘し、昨年から、国は、地方独自の子育て支援に関する行動計画の策定を義務付けるようになったことから、市町村が子育て支援に取り組む重要性を強調された。工藤氏は、浦安市は若年夫婦の割合が多いこと、保育サービスとして「地域子育て支援センター事業」、「つどいの広場事業」などさまざまな市の施策を紹介され、健全な子育てのためには、家庭はもちろんのこと、地域・企業・行政をはじめ社会全体が様々な社会資源を活用しそれぞれの役割を担いながら連携と協力を持って関わっていく必要を強調された。
 パネリストの最後に登場したNPO法人手をつなごの千葉勝惠氏は、「三世代子育て支援について」の中で、子育て支援に中高年主婦のボランティアグループの「手をつなご」の発足の経緯、地域に密着したその役割を説明された。さらに、この活動を、国の「つどいの広場」助成金事業の対象とするため、NPO法人として法人登記したこと、国の助成金で活動しているが、東京都や練馬区からの事業取り組みが無く、補助金事業として成り立たない難しさも指摘された。とはいえ、子育てを終えたボランティアと若い母親と子どもの三世代が、希薄になりつつある地域の人間関係を再構築する場として重要であることが報告された。
 パネリストの報告の後、上村協子氏がそれぞれに異なった4人の報告の接点を見出し、議論を深めていった。議論の中で、子育てに対する価値観の転換、国による抜本的なマクロ経済政策による子育ての必要性、そして地域における子育て支援の重要性が強調された。会場との意見交換も活発におこなわれ、基調講演とパネリストの論点がさらに明確になった。今回のシンポジウムは、生活経済学の守備範囲の広さを見せるとともに、参加者がそれまでに持っていた少子化問題と子育て支援の考えやイメージに、さらに多くの重要な論点を提供することができたと確信する。
 シンポジウムが成功裡に無事終了できたのも、基調講演の加部氏、4人のパネリスト、コーディネータ、そして後援してくださった各団体や参加者のみなさま、会場の準備と整理担当の会員諸氏のおかげである。厚く御礼申し上げます。また、準備と開催に関して、学会事務局が多大の時間と労力を惜しまれなかったことを特に記して、感謝いたします。

2004年度 生活経済学会市民公開シンポジウム実行委員長
                                                                                朝日讓治(明海大学)

テーマ:  「生活経済と楽しい子育て」
日時:2004年11月20日(土)13:30〜16:30
場所:明海大学2102号室
   〒279-8550 千葉県浦安市明海8

主催   生活経済学会
後援   日本郵政公社、千葉県教育委員会、浦安市、NHK千葉放送局、
      千葉テレビ放送、千葉日報、長寿社会文化協会、明海大学経済学部
プログラム

13:30 開会 総合司会 :釜江 廣志氏(一橋大学大学院教授)
13:35 開会挨拶 :村本 孜氏(成城大学教授)
13:40
 
第一部 基調講演
           「小児科医から見た出産と子育て」

講師
 

:加部 一彦氏
   (母子愛育会総合母子保健センター愛育病院勤務)
14:40 休憩   
14:50 第二部  
  パネルディスカッション

特別パネリスト

酒井 泰弘氏(滋賀大学教授)
パネリスト :千葉 勝恵氏(NPO法人 手をつなご代表)
    :大石 亜希子氏(国立社会保障・人口問題研究所)
    :工藤 陽久氏(浦安市保健福祉部課長)
 

コーディネーター

:上村 協子氏(東京家政学院大学助教授)
15:50 フロアとの討論
16:20 総まとめ
16:25 閉会挨拶 :朝日 讓治氏(明海大学教授)

16:30

閉会  

2003年度特別公開シンポジウム開催状況

 2003年度生活経済学会特別公開シンポジウムが、「地域の生活経済とNPOの役割」のテーマで、12月13日(土)、広島市の広島大学東千田キャンパスで開催された。
  当日は、年末であいにくの小雨模様の天候にもかかわらず、広島市および周辺地域の一般市民をはじめ自治体職員、学生、生活経済学会会員など約150名の参加者があった。これには各種後援団体による協力と事前の広報活動等が大きく寄与したものと思われる。
 シンポジウムは、第1部基調講演と第2部パネルディスカッションからなり、第1部では堀田力氏による基調講演が「生活を充実させる市場財と無償財」という演題で行われた。戦後のモノ不足の時代には人々はモノの豊かさを求めた。モノの豊かさを満たすのは主に市場財である。やがて経済成長によって生活が豊かになると、国民すべてに中流意識が生まれ、モノの豊かさだけでなく心の豊かさを求めるようになった。心の豊かさは一人ひとり求めるものが違うので、モノのように大量生産によって満たされるものではない。「構造改革」が目指すべきは大量生産・大量消費社会から心の豊かさを育てる社会への改革であろう。心の豊かさや個人の生き甲斐を大切にする社会は利潤追求や競争原理だけでは回らず、ボランティアや助け合い等の無償財が重要な役割を演ずることになると述べられた。
 第2部パネルディスカッションでは、まずコーディネーターの森岡敬史氏によって、NPO活動が慈善型、事業型、監視型の3類型に大別された。最初のパネリスト伊藤敏安氏から中国地区におけるNPO活動の報告がなされ、福祉・医療・マチづくり等生活密着型および行政サービスの代替または支援型が多いという特徴が明らかにされた。今後の方向として行政サービス代替型よりもサービス提案型や監視型NPOへの期待が述べられた。
 次に矢吹雄平氏からは、従来の自治体依存の地域運営から「顧客満足を理念とした顧客の創造と維持の仕組みづくり」というマーケティング概念を援用した地域運営への転換の必要性が指摘され、鎌倉市の事例により自治体マーケティングの有効性が示された。藤野完二氏は、いわゆる監視型のNPO活動を実践している立場から、NPOが市民のニーズや声を行政に生かすパイプ役として重要な役割を演じていることを明らかにされた。また茶山ちえ子氏からは、在宅介護活動を行っていた任意団体が、介護保険制度導入を契機にNPO法人格を獲得し、組織運営や財政基盤の強化につながっている事例が紹介された。
 最後に、経済のグローバル化が急激に進むなか、たとえば銀行の統廃合によって金融サービスが受けられなくなる(金融排除)地域が生まれるなど、各国において地域の生活基盤が疲弊し、また地域住民による助け合いや連帯が希薄になってコミュニティが崩壊しつつあるという状況に対して、村本孜氏は地域住民による協調や連帯であるソーシャル・キャピタルを活性化させることが地域社会の再生につながると述べられた。
 5人のパネリストの発言をうけて、NPOと行政の関わりおよび資金問題に絞って討論が進められた。NPOはややもすると行政の下請け機関化するおそれがあるが、行政とは適度な緊張関係を維持しながら活動する必要性が指摘され、資金面では、実際に採算が合っているNPO法人による活動事例が紹介され、寄付金や行政に頼るのではなく自力でおカネを生み出す工夫が今後の課題になるであろう、等と議論が深められた。
 パネリストによる活発な討論の後、フロアーからNPOの活動を評価する尺度があるのかという疑問が出され、各人が自己の尺度でサービスを選択できるよう、情報を公開することが肝要であるということが確認された。最後にコーディネーターにより、共生関係をいかに創ってゆくかということの大切さがシンポジウムで再確認されたとの纏めがなされ、公開シンポジウムは盛況のうちに終了した。
 シンポジウム終了後の参加者の感想は大変好評であった。生活経済学会の対外的活動の一環としての一般市民との対話と交流という公開シンポジウムの目的は充分に果たされたと思われる。あらためて参加者をはじめ後援していただいた各種団体、準備に多大のご協力いただいた方々に厚くお礼申し上げます。

2003年度 生活経済学会特別公開シンポジウム実行委員長
                                  守山昭男(広島修道大学)

2003年度 特別公開シンポジウムの概要
テーマ:  地域の生活経済とNPOの役割

日時:2003年12月13日(土)15:30〜18:30
会場:広島大学東千田キャンパス
    広島市中区東千田1丁目1-89
主催 生活経済学会
後援 日本郵政公社、広島県、広島市、NHK広島放送局、中国新聞社、
    中国放送、広島ホームテレビ、広島テレビ、広島大学経済学部付属
    地域経済システム研究センター、ひろしま NPOセンター 

プログラム
総合司会   森川 譯雄 氏(広島修道大学)
開会挨拶 :村本 孜 氏(生活経済学会会長 成城大学)
第 1 部  基調講演 
             「生活を充実させる市場財と無償財」

講演者

:堀田 力 氏(さわやか福祉財団理事長、弁護士)
第 2 部  パネルディスカッション
             「地域の生活経済とNPOの役割」

パネリスト

:伊藤 敏安 氏(広島大学地域経済システム研究センター長)
:矢吹 雄平 氏(岡山商科大学)
:藤野 完二 氏(日本の環境首都コンテスト実行委員会)
:茶山 ちえ子 氏(WAC広島ふれあいセンター理事長)
:村本 孜 氏(成城大学)

コーディネーター

:森岡 敬史 氏(広島大学)
閉会挨拶 :守山 昭男(実行委員長、広島修道大学)

特別公開シンポジウム実行委員会

委員長

守山 昭男(広島修道大学)

委員

 

森川 譯雄(広島修道大学)
森岡 敬史(広島大学)
喜田 栄次郎(岡山商科大学)
石田 成則(山口大学)

2002年度特別公開シンポジウム開催状況

 2002年度生活経済学会特別公開シンポジウムは、「地域の生活経済と情報・金融サービス」をテーマとして、12月14日(土)、長崎市の長崎文化放送会館ホール(NCC&スタジオ)で開催された。

 当日は、生活経済学会会員をはじめ長崎市および周辺地域の一般市民、学生、教職員など幅広く220名の参加者があった。これには、実行委員会はもとより後援団体(郵政事業庁・長崎県・長崎市・NHK長崎放送局・長崎文化放送・長崎新聞社)による事前のPR広報活動等の協力も寄与したものと思われる。そして、フロアーからの意見や討論も活発に行われ、予定時間通りに無事終了した。

 シンポジウムは、第1部の基調講演と第2部の討論に分けて行われた。第1部では、金村公一氏(県立長崎シーボルト大学)が「コミュニティー・インフォマティックスと情報デザイン」と題して、コミュニティーの情報化についてネットワーク社会型のコミュニティーとそこでの各種の地域アーカイヴの作成などによる地域文化情報の蓄積・共有・継承   とそれへの取組みの協同化の重要性を述べ、情報化社会における地域情報の意味・役割などについて諸問題を提示・検討した。御船美智子氏(お茶の水女子大学)は、「地域の生活経済のフロンティア―お金と時間・情報・アイデンティティー―」について、成熟時代の経済生活の特質や重層的経済における生活者のニーズと生活者支援サービスの必要性を訴え、社会情報に対する自己情報とその編集・蓄積、そこでの地域情報の果たす役割と生活者の認識などにわたって論点を展開した。

 討論の部では、討論者として丑山優氏(九州大学)が、それらの便利さや危うさなどといった光と影に関する指摘をおこない、釜江廣志氏(一橋大学)が、家計資産運用の発展とデジタル・デバイドや金融排除などの諸問題をとりあげ、それぞれ基調講演者の論点をさらに深めるコメントおよび質問を行った。これらを受けてコーディネーターをつとめた中宮光隆氏(熊本県立大学)が、フロアーから出された、数字ではかれないものを考えると未だ成熟社会といえないのではないか、個人vs公共における利益のつながり方ないしその方法、e−コマースは地域経済を振興させるか、などの質疑や意見も含めて討論全体の進行ととりまとめなどを行った。シンポジウム終了後の参加者の感想も好評であった。

今回の準備については、理事会で平成14年度の生活経済学会特別公開シンポジウムとして九州部会が担当することが決定され、部会幹事会で長崎大学が主管することとなり実行委員会が組織された。実行委員会では、開催時期・会場・テーマ・基調講演者・討論者・コーディネーター・(名義)後援団体等について検討し決定した。

 

 最後に、後援していただいた団体、参加者、準備に多大のご協力いただいた方々に厚くお礼申し上げます。

2002年度 生活経済学会特別公開シンポジウム 実行委員長 内田滋(長崎大学)

2002年度特別公開シンポジウムの概要

テーマ  地域の生活経済と情報・金融サービス
日 時  2002年12月14日(土)    
      午後1時〜4時
       
場 所  NCC&スタジオ (長崎市茂里町3-2、長崎文化放送内)
主 催  生活経済学会  
後 援  郵政事業庁、長崎県、長崎市、NHK長崎放送局、長崎文化放送、長崎新聞社  
 
プログラム
  総合司会 三原 泰煕 氏(長崎大学)
  開会挨拶 酒井 泰弘 氏(生活経済学会会長、筑波大学)
  第一部
   基調講演 金村 公一氏(地域・情報関係 県立長崎シーボルト大学)
御船 美智子氏(生活経済・家計関係 お茶の水女子大学)
   討論  
    コーディネーター 中宮 光隆氏(熊本県立大学)
    討論者 丑山 優氏(九州大学)
    釜江 廣志氏(一橋大学)
閉会挨拶 内田 滋(生活経済学会理事 長崎大学)
特別公開シンポジウム実行委員会委員

 委員長  

内田 滋(長崎大学経済学部教授)

 委 員  

三原 泰煕(長崎大学経済学部教授)
吉田 高文(長崎大学経済学部助教授)
ガンガ 伸子(長崎大学教育学部助教授)
実積 寿也(長崎大学経済学部助教授)

生活経済学会
〒101-0061 東京都千代田区三崎町3丁目7-4
Tel:03-5275-1817 Fax:03-5275-1805

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